自転車をこいでゆく初夏の夜
潮風になびいていく ポニーテール
夜明け前の空 飛び込んでゆけ
昔読んだマンガの主人公より
ずっと大人になってるはずなのに
あれからどれくらい
前に進んでいるんだろう
叶わないから素晴らしい
そういうものなのだろう
描いた夢は遠ざかる
サビついた 自転車 漕ぎ出そう
Twilight Line ほやけてく心全部
いま置き去りにされそうな夢を
つまづき傷ついた人生の途中で
ただ ペダルをこいでる
いつのまにかっふれた駄菓子の店
ひと気のない公園 酒屋のあと
神社だけが取り残されたまま
汗に濡れたワイシャッの着心地も
やかましい蝉の鳴く裏山も
うっとしいだけと
感じるようになっていく
戻れないから美しい
そういうことにしておこう
ペダルは過去に空回りするだけ
それだけでも行かなきゃ
Twilight Lineぼやけてく未来全部
正しさならもう足りてるから
あらがい続ける人生の途中に
まだ標識はいらない
Twilight Line開けてく世界全部
誰でもない私の未来のなか
転がり続ける坂道の途中で
今夜が明けていく