ひとつぶの記憶
あの時 はじけ飛んだ
真珠の首飾り
部屋を変わる 支度(したく)をしていたら
みつけた 最後のひとつぶ
思わず つまみ上げ
手のひらにのせてみる
まるで二度と戻らない幸せ
ひそやかにきらめいているわ
少年みたいに はにかむあなたが
私の首に飾ってくれた
誕生日の遠い日
“真珠は真珠貝の 痛みがつくりだす
だから哀しいくらいにまろやか”
そんな言葉 かみしめてひとり
別れの痛みを抱きましょう私も
あなたのことが 真珠のように
きらめきだす 時まで
新しい男に会い 痛みが消える頃
胸の奥に眠っているでしょう
哀しくてまろやかな記憶